堺っ子ナビに教育学部開設!
 
堺で塾講師 兼 オーナーをされている大西栄人先生執筆の新コーナー。
なりたい自分をめざしてがんばる子供たち+親御さんに贈る辛口ながらも愛にあふれたメッセージを定期連載。
堺のリアルな教育事情もみえてくる、お役立ちコラムです。
 
 

「本当の意味で高い学力をつけるためには」


 こんにちは。2時間目がずいぶんと遅くなってしまいまして、申し訳ございませんでした。
夏休みは当方の塾でも夏期講習がございまして、授業もやりながらのプレイングマネージャー
の私ももれなく朝から晩まで授業をして いた次第で、執筆時間がなかったのです。

・・・言い訳がましいですね、もっと鉄人になれるように私も精進が必要です。


さて今回は第2回と言うことで、2時間目「本当の意味で高い学力をつけるには」と題しまして
書いていくことにします。1時間目に「高校選び」について書いたのですが、そもそも大きく
見れば高校入試の為に勉強をして いるわけではありませんよね。高校というのは、あくまでも
成長する為の通過点です。決して高校に行くことがすべてではありません。

 

今勉強しているのは、大人目線で言えば、社会に出て独り立ちする時に困らないために、勉強
しています。目の前の高校入試が最終目標だと、高校入試が終わった後、燃え尽き症候群になっ
たり次の目標が決まらなかったりします。

塾にもいますよ、中3の入試前は勉強しまくったのに、高校に入ったとたんに抜け殻になって
しまう生徒さん。高校入試のその先を、見据えていないからです。社会に出て独り立ちする時に
困らないために勉強するという大きな目標の下に、スモールステップとしての 目標の高校入試が
あるわけです。

もっと言えば、各々個人が感じる「幸せ」になるという大願の為に、今の勉強や高校入試という
具体的な目標があるわけです。
そう考えていくと、「高校入試の為のテクニック」を学んでギリ
ギリ高校へ進学するよりも、本当の意味で高い学力をつけて、心身ともに余裕を持って進学して
いくのが理想です。あくまでも理想ですけれど。その理想に適わない生徒が多いから、私も塾を
やって手助けしているわけですけれどもね(笑)。


 

 


【本当の意味で高い学力、とは】


さっきから「本当の意味で高い学力」と言っていますが、さてそれは偏差値でしょう か。もちろん
学力を推しはかる手段としての偏差値は、私は認めます。たくさんの子どもたちを判断する基準と
しての偏差値は、時として有意義だと思います。

偏差値至上主義という教育に警鐘をならす意見もわかりますが、学校の教師の方々すべてが、子ども
たち全員の頑張り(目に見えるところも目に見えないところも)を正当に判断できるちからを持って
いるかといえば、残念ながらそうではないでしょう。 特に堺市は政令指定都市であり、公立学校の
教員の競争による切磋琢磨が少ないように感じます。

そうした時、偏差値はひとつの基準とし て役に立ちます。
しかし偏差値それだけでもいけません。
偏差値は低くとも、卒業してから起業して大会 社の社長さんになったり、ひとつのスポーツに打ち
込んで歴史に残る成績を残したり、といった学力では図れない偉大な人も多くいます。

そういう人たちは、学生時分に、学力以外で、将来活躍するという片鱗は残していないのでしょうか。
私は残していると思います。偏差値 という基準以外の何かで、きっと。オリンピック選手の恩師が
インタビューで、『昔から片鱗があった』というのは、あながちその場で思いついたことでもない
共通したことだと思います。


言ってみれば、『賢さ』でしょうか。または『考えるちから』でしょうか。それと『実践する力』
でしょうか。問題に当たった時、それを打破する為のアイデアや新たな方法を考え実践できるちから
それが本当の意味での学力かもしれません。


カッコいいですね…『本当の意味での高い学力とは、偏差値だけではなく高い問題解決 力だ』とか、
すごくカッコいいです。しかしながら、こうも言えるでしょう。『それだけ高い問題解決力があれば、
学校で勉強する知識や 問題くらいはできるでしょう』と。例えば、スポーツ推薦で高校を狙っている
生徒がよくいます。スポーツばっかりやっているから時間が ない、ということもわかるんですが、それ
でもある程度は学校の勉強もできなければ、スポーツも極められないんじゃないかなと思ったりします。

現に私立高校の強豪野球部では、点数の縛りがあったりもします。
平たく言えば、いくら家庭学習しな
くても、学校の授業を受けていれば、よほど知能に 問題がないならそれなりにはできるでしょうし、良く
も悪くも、本当の学力とは何かを考えれば考えるほど、学校の勉強くらいはできなきゃって思うのです。


公立の小中の勉強にしろ、高校入試の勉強にしろ、学校の勉強くらいはある程度できな ければ、その先
もうまくいかないんじゃないの?と思ったりするわけです。問題への対応力とか。だから、学校の成績
くらいは頑張って欲しいんですよね。



 


【本当の学力はいつ身につくのか~小学校低学年がポイント】


 ではどうすれば学力ってあがるんですか??というところですよね。教育学部としての お話です
ので、学力ということを今ここでは中学校や高校での成績ということに絞らせてもらいますが、
中学校や高校で成績がいいという 生徒をよく観察すると、結構共通点があるんですね。


手前味噌の話で申し訳ありませんが、当塾は小さなローカル塾ですので、成績が最初か らずば抜けて
高いという生徒はなかなか来ません。しかも、塾に通うのは中学になってからという割とのんびり屋
さんの保護者の方が多い んです。それでも、塾に来て成績をかなり伸ばす生徒と、伸ばせない生徒と、
います。伸ばせない生徒は自分の教え方が悪いんだと反省もしますが、実はコレ、塾に来る前にも
原因があることが多いんですね。


中学・高校で成績を伸ばす生徒は、必ずと言っていいほど、小学生のときに、親から割と厳しい
しつけが指導されています。厳しいというのは、怒るとか怒らないとか、手法の問題ではなく、
結果的に、あいさつやものの扱い (くつを揃えるとか持ち物を忘れないとか)や話の聞き方などが
品良くできるようになっています。


あいさつは、人の気持ちを推測できるようになる訓練です。ものを丁寧に扱うのは、計算や漢字
などを丁寧にするための注意力を養います。そして話を聞くことができれば、他からの教えを
吸収することができます。

こうした 所作は、小学校低学年に養われないといけないことです。こうした所作がしっかりできて
いて塾に来た生徒は、もれなく成績をガツンと上 げています。つまりは、小学校低学年で人間形成の
勉強をしっかりやっておけば、偏差値を伴う勉強は取り戻せることが多いということです。


そうした所作を教えることができるのは、保護者です。そうしたことを教える教育機関ももちろん
ありますが、お金がかかります。正直小学校低学年から所作教育を家庭ではなく外部の教育機関に
せられる裕福なご家庭も今どき少ないかと思います。
小学生低学年のお子様をお持ちの保護者様がこれをお読みになっているなら、大事なのは今ですよ!

 


 


【小学校低学年で具体的におさえておきたいポイントとは】


では、具体的に小学校低学年でおさえておきたい勉強のポイントとはなんでしょうか。
結構、『小学校低学年くらいは遊ばせてあげたい』というご意見も多く聞かれます。
そうなんですけれど、実は上手にやればそのくらいの 年齢の子どもにとっては「勉強」は「遊び」
ですよ。机に座らせて怖い顔で勉強しなさい!と言えば、誰でもつまらないと思いますし、 「勉強」
と名づけたら「勉強」になってしまいます。それはもっていき方です。

「パズル」「本読み」「計算タイムトライアル」など、 もっていき方によって、低学年の子どもに
とって「勉強」は「遊び」の感覚に近いものとなります。何でも「勉強」と捉え始める(現実が
見えてくる)のは、小4くらいからですよ。その前に「勉強」が「楽しくないもの」と認識されて
しまうのは、もっていき方に問題がある とも思います。


また、さまざまな意見があると思いますが、実際に指導していて思うのは、「たくさん やる」という
ことが大事だな、と思います。質はもちろんなんですが、逆に質のよくないものに触れることによって、
質の良し悪しを学ぶ ことさえも大事かなと思います。


「たくさんやる」際には、ゲーム性も必要です。四則計算では、100問テストなどを 用意し、毎回
スピードをはかって向上させる。毎回記録を更新していけば、これだけで子どもたちは大はしゃぎで
毎回やりたがります。

本を読むのも、声を出してじっくり読むと同時に、今まで読んだ本を繰り返し読ませます。できる
かぎり誰かが聞いてあげて、間違った漢字 の読みなどは指摘してあげます。漢字は、習う学年とか
気にする必要もありません。もちろんひらがなやかたかな、漢字やことばのきまり など、たくさん
書かせるのは、書かせましょう。読む、書く、聞く。そして内容を話す。それをたくさんやります。


そうして、(中学受験をお考えの方は別ですが)小3までには、大きな数の足し算引き 算、九九と
割り算、それから本の読み書きがスラスラと(ヨチヨチではなくスラスラとが大事)できるように
なっておくことが必要でしょう。

 


 


【では遅れはとりかえせないのか】


 でも、もう小学校高学年だよとか、もう中学生だよとか、低学年を何もしないで過ごし、今成績は
本当に平均かそれより下、というお子さんもたくさんいますよね。そういう子たちは、例えば共通して
分数が苦手だったり、 暗記が苦手だったりします。


じゃあ取り返せないの?ということですよね。それは個人差がありますので一概には言 えませんし、
夢を無くすようなことは言いたくありませんが、答えはほぼ、「完全には取り返せない」ですよ。

すいません、公の場で。小学校高学年ならまだ可能性があるかもしれません。
強調しますが「完全には」です。全く取り返しがつかないというわけではありません。

でも本当のことを言えば、中学に入ってしまっていたら、すべての遅れを取り戻せるのは、10人に
ひとりじゃないですかね。塾に行って テクニックを学べば、点数だけで言ったら10人に3人はある
程度まではできるようになるかもしれません。でも、正直、点数上だけですよ、本当の学力が取り戻せ
たと思えるのはごくごく僅かです。


問題は、『ちょっとやらせれば、取り返せるだろう』と思っている保護者です。
冷静に 考えてみてください。低学年のとき、3年間かけて学ぶことを飛ばして、小6とか中2とかで
取り返すことって、簡単だと思いますか?小学校って6年間もあるのに、そこで学ぶことを度返しして
中学で取り返す」なんてことは、奇跡の何ものでもないですよ。


ただ、だからといってお子さんが「ダメ」かというと、そんなことはありません。
でも、幸せに近づくためには、すべては取り戻せなくても、できる限り学力の遅れを取り戻しておいた
方がいい場合が多いですよね。学校の勉強くらいは…です。だからみんなあきらめずに勉強します。そして
それを保護者は受け入れるのがいい道です。最高レベルの10がすべ てではなくて、10を目指すけど7で
終わっても、がんばったことは認めるし、いいじゃないかという受け入れも大切です。そう考えると、
遅れを取り戻せないということはないですよね、各々取り戻したいレベルが違ってきますから。


では、すでに中学生になってしまった生徒さんが取り返すために具体的にするべきことは、次回に持ち越し
ましょう。その時、堺市の場合、部活との兼ね合いも出てきますので、次回はそれも併せてのお話です。

 


今回の記事でみなさんにご提案もあります。堺の塾のことで言えば、『中学受験しない子どもは、小学生の
ときはプリント配布型などの 低料金塾で、中学に入ってから本格的に塾に通わせる』というご家庭が主流だと
思います。しかし、受験しなくても、小学校低学年のとき に教育費をかけるという選択肢も大いにアリだと思
います。低学年で勉強を伸ばす土台を作り、小学校高学年では興味のある勉強に傾倒し、中学校2年までには
高校受験のための塾を固定して頑張る。そろそろこういうルートが主流になってもいいのに、と思います。

 

本日はこのくらいまでにしておきましょう。

 


 【本日のおさらい】


1.本当の意味での高い学力とは、「問題解決力」 だが、だからこそ学校の勉強くらいできな きゃ。

2.本当の学力をつけるためには、小学校低学年がポイント。「日常」の躾が大事。

3.小学校低学年で具体的に抑えたい勉強のポイントは、「読み」「書き」「計算」を楽 しんで。

4.すべての遅れを取り返すのはほとんど奇跡。受け入れることも必要。

 

次回は3時間目 「中学での巻き返しと、部活を選ぶこと」です。